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「発酵SALON-新潟で発酵を語る」#3

事業者向けセミナー

「発酵SALON‐新潟で発酵を語る/新潟を発酵で語る‐」#3

 新潟県食品・流通課では、2020年2月18日、「発酵」を切り口に、今の食のトレンドや新潟の食の価値、新たな事業の可能性などを考える事業者向けセミナー「発酵SALON‐新潟で発酵を語る/新潟を発酵で語る‐」を新潟グランドホテル(新潟市)で開催しました。

 今回のシリーズでは、このセミナーの様子を3回に分けて、少しだけご紹介します。

 最終回は、「『ロングライフデザイン』で考える地域の仕事」について。

 スピーカー:D&DEPARTMENTディレクター 相馬夕輝

「『ロングライフデザイン』で考える地域の仕事」


D&DEPARTMENTでは、「ロングライフデザイン」という考えを大事にしています。例えば、販売から50年、ずっと同じ形で、ほぼ同じ価値で売られているカッターがあります。そこには、私たちの身の回りの生活で長く使われてきた価値があり、さらにひもとくと、その「もののまわり」には私たちの生活環境、生産者や産地の特徴といった要素が折り重なり、そのものの「らしさ」があると思います。

「時間が証明する息の長いデザイン=ロングライフデザイン」。私たちは、生活の中で長く続いてきたモノやコトの価値、「らしさ」を再編集し、それを伝える活動によって息の長いデザインを応援しています。



 私たちの活動は、リサイクルショップの運営や、Gマーク商品を私たちが持つテーマで選び直す「used(ユーズド)」の取り組みなどに始まり、今では都道府県ごとにその土地「らしさ」を生かした店舗づくりを進めています。2012年には、渋谷ヒカリエに、各都道府県の「らしさ」を一堂に見られるストアと食堂併設のミュージアム「d47 MUSEUM」を設けました。

ミュージアムでは、麺や子どもの道具など、いろいろなテーマで47都道府県のモノを集めて展示します。また、PtoPとして、地域の社会課題、プロブレムをいろいろなプロダクトやプロジェクトに起こして事例を集め発信しています。「47」というキーワードで日本全体を見る時、今の日本はどうなっているのか、今のデザインをどう応援したらいいのかということを浮き彫りにしていく場所としての役割もあります。


 昨年、47都道府県の発酵展を開催したところ、非常に多くの方が来場されました。新潟からは、かんずりを紹介しました。会場では連日、たくさんの生産者の方たちから、いろいろな話をしていただいたのですが、1回ごとに予定人数を超える50人以上の応募がきて、お断りせざるを得ない状況が続きました。他の企画展ではここまで集まらないこともあったのに、なぜ発酵展には集まるのか。先ほど君島さんがお話したように、世の中のトレンドや自分たちの精神性などが、発酵に何かを感じているのでしょう。特に若い方が多かったので、若い世代からそういう関心が起きていることを強く感じました。

 ミュージアムでの企画展は、企画テーマに沿って都道府県ごとの「らしさ」をリサーチし、アーカイブ化する取り組みでもあり、それを観光冊子としてまとめることで新たなコミュニケーションにも発展します。「らしさ」を考えることは、原点を見直すことだと言えるかもしれません。

私たちは地元の方や生産者の方とよくお話しますが、地元の方の目とよそ者の目を通して地域の「らしさ」や原点を見ることは重要です。新潟ですと、十日町地域とご縁があります。大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレは、もともと棚田の景色を守るために始まったプロジェクトで、芸術祭を機に現地に関心を持ってもらい棚田の保全や農業の担い手などが生まれ、新たな循環ができることを考えてスタートしたものです。就農希望者は一定数増えていますが、もっとこのプロジェクトを伝えていきたいということでお声掛けいただきました。「d47 MUSEUM」では食文化やそれにまつわるものを展示したり、食堂で食事を提供したりしました。また、実際に越後妻有にも何度も伺い、見せてもらった発酵食や保存食は素晴らしいと思いました。中でも居間の縁の下にある「芋穴」は、居間の暖かさを生かしサトイモやサツマイモなどを保存する場所として、昔はどの家にもあったそうですが、見せていただいた家のお母さんは、嫁いで来たら芋穴がなかったので夜な夜な自分で掘ったそうです。しかも家を建て替える際、その芋穴を中心に家を造ったと聞き、芋穴を活用した暮らし方に衝撃を受けました。今、人口が減っている地域の暮らしの価値を私たちが発信することで、若い世代が住む場所を求めてやって来ることだってあるかもしれません。

ぜひ、「もののまわり」から、地域のモノやコトが長く続くために必要なこと、自分たちの企業や地域の「らしさ」を考えてみてください。

 今回が最終回でしたが、もう1回だけおまけをつけます。

 最後の最後に、セミナーで振る舞われた試食や質疑応答の一部をご紹介します。