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「雪国の発酵食文化発信事業」コンセプト検討会#1

「発酵」を通じて新潟の魅力を深める―新潟県の取り組み―

 新潟県食品・流通課では、「雪国の発酵食文化」に着目して「食の新潟」の上質なイメージを醸成するため、「雪国の発酵食文化発信事業」コンセプト検討会を立ち上げ、2019年8月から計3回、事業の取り組み方や情報発信の方法などを話し合ってきました。


メンバー

井口智裕さん(㈱いせん代表取締役)

樺沢敦さん(㈱FARM8代表取締役)

田中竜男さん(ぽんしゅ館バイヤー)

葉葺正幸さん(㈱和僑ホールディングス代表取締役)

遠藤智弥さん(㈱フォーワテック・ジャパン)

 今回のシリーズでは、この検討会の様子を3回に分けてご紹介します。

 初回、早くもキーワードが登場します。

 新潟というエリアの特徴を「発酵」という切り口でひもときながら現代的に再編集してみると、新潟の食文化はもちろん、新潟県人の暮らしや地域性をより魅力的に語ることができるかもしれない―。新潟県の声掛けで集まった検討会メンバーたちは、新しい事業の可能性に手応えを感じました。

日本全国にある発酵食。

 そもそも発酵とは、微生物の作用により食品が変化すること。主な発酵の菌は、日本の「国菌」として認められた麹菌をはじめ、酵母や乳酸菌、酢酸菌、納豆菌に分類され、それぞれに何百種もの菌が存在します。

 最近では、飲む点滴として甘酒の人気が高まったり、具材や付けダレにみそやヨーグルトなどの発酵食品を使った発酵鍋がトレンド化しています。2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されてからは、海外でも日本の発酵食文化に注目が集まっています。

 新潟には、みそやしょうゆ、日本酒に加え、かんずりなど雪国の風土を生かした豊富な発酵食がありますが、発酵食文化そのものは日本全国に存在し、それぞれに豊かな魅力があります。そのため、メンバーからは「みそやしょうゆは、どこにでも似たようなものがあります。味に多少の地域色はあるものの、新潟の発酵食にはずば抜けたものがない」と懸念する声が上がりました。併せて、全国至る所で発酵食文化のPRが行われている今、「伝え方には工夫が必要」との指摘も出ました。

 新潟の魅力を発信する際、「食」は欠かせないテーマです。新潟といえばお米、お米といえば新潟というイメージは広く認知されていますが、一方で、発酵から新潟をイメージしにくいことも否めません。「発酵食で、なぜ新潟なのかと言った時、おいしいとか、雪があるからいいというスペックだけで話をしてしまうと続かない。新潟の発酵食がなぜ豊かなのかということを、明確に理論付けしていかなければいけません」、「かつて新潟には全国トップ10に入るような豪農がいて、米が豊富にありました。その中でみそや酒などの発酵食が作られてきたと思います。米を主軸とした発酵食文化も創れるのではないでしょうか」、「発酵を育てるなら、県と事業者が同じ方針でやるとしっかり決めて、数十年先までブレずにやることが重要」など、さまざまな意見が交わされました。




オンリーワンになるカギは「発酵を科学する」

葺葺さんが「『発酵を科学する』のはどうでしょう。言ったところが一番になれる土俵を作ってしまうのも面白いと思います」と提案。他の自治体も発酵をテーマにしたPRに取り組み始めている中で、新潟には雪があるとか、山があるという違いの打ち出し方では埋没してしまいます。新潟県が、どこで、どうポジションを作るのか。これがオンリーワンになるために重要なポイントの一つであり、「発酵を科学する」ことは、その際のコンセプトになり得ます。

 葉葺さんは「『科学する』といっても、研究所でビーカーや試験管を使うのもいいですが、そこだけでガチガチに『科学する』のではなく、いいさじ加減でコーディネートしていく。『発酵を科学する』という考え方で情報を再編集する。つまり、『科学する』ことを通じて世界一になることを目指す、新潟から世界に発信するという取り組みの一つ」と位置付けました。この「発酵を科学する」というキーワードから、話がどんどん展開していきました。

 前半戦は、ここまで。後半戦は、さらに未来志向での議論が続きます。