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山古志地域の無塩漬物「いぜこみ菜」由来の乳酸菌ヤマコシ株とその利用方法


1 ヤマコシ株の分離


農業総合研究所食品研究センターでは、県内食品メーカーの新商品開発を支援するため、新潟県内の地域に根づいたオリジナル乳酸菌を分離しています。乳酸菌ヤマコシ株の場合、長岡市山古志地域の伝統発酵食である無塩漬物「いぜこみ菜」(写真1)から2018年に分離しました。ヤマコシ株は、分類学上はLactiplantibacillus paraplantarumに属する乳酸桿(かん)菌(きん)で(写真2)、強い粘性と曳糸性(えいしせい、糸引きがある)を有することが特長で、風味も良好です。この乳酸菌株を発見した西脇食品工学科長と奥原専門研究員がコロニーを単離する作業中に強い糸引きに着目し、この特長を生かした新しい発酵食品の製造技術の研究に着手しました。



写真1 いぜこみ菜


写真2 ヤマコシ株電子顕微鏡撮影



2 ヤマコシ株の利用方法


ヤマコシ株は、令和3年度新潟県農林水産業研究成果集に掲載の研究成果情報(成果名:新規乳酸菌ヤマコシ株の特長と粘性及び曳糸性を呈する乳酸発酵食品の製造方法)として公表されています(https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/277783.pdf)。


これは、米を原料とした発酵食品の発酵スターターとして利用できます。簡単に説明すると、炊飯した玄米をα-アミラーゼで液化しながら、ヤマコシ株で丸一日間発酵させ、裏ごしすることでヨーグルトのような酸味と物性をもつ発酵食品を製造できます(写真3)。さらに、豆乳などの植物性タンパク質を発酵させた場合も粘性を付与できます。一方で、白米を発酵させた際には、ヤマコシ株の特長である粘性・曳糸性が付与できません。この課題解決には小林主任研究員が取り組み、乳酸発酵前に炭酸カルシウムを添加することで、白米を発酵させた場合にも粘性・曳糸性を付与できるようになりました(写真4)。このように、ヤマコシ株を活用することで食品の物性を改変できるため、市場が拡大しているプラントベースフードに該当するような新ジャンルの発酵食品の開発につながるものと考えています。


また、ヤマコシ株の特長である粘性・曳糸性に関心を示す方も多いと思います。我々は、乳酸菌ヤマコシ株が菌体外多糖(Exopolysaccharide: EPS)を生産していると推測しています。EPSは健康機能性を有するとの報告があることから、この観点でも研究を進めたいと考えています。


3 ヤマコシ株の利用実績等


ヤマコシ株を利用した製品第1号は、(株)古町糀製造所が製造・販売する「お米ののむヨーグルト」です(写真5)。ヤマコシ株の利用に関心のある事業者におかれましては、はじめに上述の研究成果情報をご覧ください。なお、ヤマコシ株を使用した発酵食品の製造技術は、新潟県が特許出願しています(出願名称:新規乳酸菌およびこの乳酸菌を利用した粘性発酵物の製造方法、令和2年7月 30 日出願、特願 2020-129598)。県内事業者の皆様がヤマコシ株を利用した商品を製造・販売する場合、新潟県から実施許諾を得る必要があります。


ご利用を希望する場合、農業総合研究所食品研究センターまでお問い合わせください

(連絡先:食品研究センター 園芸特産食品科 0256-52-3240)。



4 消費者の皆様へ


この他にも、「新潟の発酵食研究会」の取組の一環で商品開発を進めているところです。県民の皆様には、ぜひヤマコシ株を使った商品に注目していただきたいと思います。順次、新製品がリリースされる予定ですので是非ご賞味ください。


写真5 お米ののむヨーグルト

(株)古町糀製造所 製造・販売