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越後みそとは Vol.1 【越後みそ前編】



ゲスト:青木光達(あおきみそ株式会社)

ナビゲーター:小林和也(新潟県農業総合研究所 食品研究センター)


小林

この番組では新潟で古くから愉しまれている越後みその秘密を探っていきたいと思います。今回はあおき味噌株式会社の青木社長からお話を伺います。青木さん宜しくお願いします。



青木

こちらこそ宜しくお願いします。



小林

以前、食品研究センター前身の元食品研究所の所長でいらっしゃる今井先生に越後みそについてお話しを伺った時に、地域や製造事業者によって越後みそには個性があると伺いました。今井先生からは研究者・技術開発者としてお話を伺いましたが、製造事業者である青木さんが考える越後みそとはどういったものかを今回お聞きしたいと考えています。


青木

今井先生がお話したとおり、実は県内の各メーカーのみそは地域やつくり方によって非常に個性があります。最も代表的な越後みそは大きく分けて2つに分類にされており、一つは下越地方を中心に作られているみそなのですが、大豆を蒸しています。麹歩合が6割から8割の赤色の濃い「粒みそ」になります。発酵の香味や蒸し大豆の旨味とでも言いましょうか。そういう「香味」と「うま味」が一緒になって、非常に押し味が効いたものになるのが一つ特徴で、それが下越中心に作られています。

もう一つの越後みそは、上越地方でつくっています。こちらは大豆を「蒸す」のではなく「煮て」おり、麹歩合が8割から10割とちょっと多めであるため、薄い山吹色から薄い朱色の麹みそとなり、特徴あるみそになっています。米麹の粒が綺麗に見えることと、それがおみそ汁にした時にふわっと浮いてくるのがこの「麹みそ」の特徴になっています。味はほのかな甘みを持つ、スッキリとした味わいが特徴です。これら2つの両極端な特徴を越後みそは有しておりますが、近年、これら両方の特徴を合わせたような越後みそがつくられています。現在は事業者ごとに特徴を出してるような形でみそを製造しておりますね。統括すると皆さんがご存知の越後みそは共通して大豆の粒が残ってないということです。そして酵母発酵が盛んで、香りが強いということですね。それからみそ全体の硬さ。それから旨味とか香りのバランスが取れているのが越後みその特徴になっています。


小林

今のお話しですと、青木さんがいる上越では浮き麹みそを中心に製造されていると私も承知しております。その中で青木さんは今も実際にみそを製造されていますが、越後みそや今ほどお話しのあった浮き麹みそを製造する場合に工夫だとか苦労があると思いますが、その辺りお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。



青木

そうですね。一番はやっぱり原料です。原料っていうのが米も大豆も農産物なので、年度、品種、それから産地によって色んな違いが出ます。その違いを技術的なもので、均一になるように、いつも同じになるようにつくるっていうのが非常に難しいことですね。それから、今度はみそのつくり方ですがつくり方って技術的なもので極意ってものがみその場合、一に「麹づくり」、二に「炊き」って言って大豆の煮方、三に「塩梅」、塩加減と言われております。みそづくりは、始まりが良ければ終わり良しという考え方が強く、麹づくりがうまくいかないと後が大変になるため、麹づくりが非常に大切ですね。それから炊きと言われる大豆の煮方によって越後みその色の濃淡とかそういうものの区別がつきますので、そういうものの煮方をきっちりとしないと目的の越後みそにならないということですね。まぁそういった苦労があるということですね。

また、最近では温暖化の影響で夏が暑いので、品質保持のため製造環境を保全しなきゃいけないってことがあり冷却的なことを徹底することが大変なことに加え、衛生管理基準が年々上がってますので、それに向けて対応するってことが苦労と言えば苦労になりますね。



小林

ありがとうございます。やはり聞くと原料から途中のプロセスまで非常に注意が多いということで大変参考になりました。いま越後みそ特有の工夫だとか苦労をお話しいただきましたが、特に青木さんの中で他県のみそづくりと比べて、ここが大きく違うなと感じているところがあればお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?


青木

はい。越後みその特徴として大豆粒が残らないということあります。それをするために大豆をどちらかと言うと他県産よりも柔らかめに煮る必要があるんです。そのために深く煮る。また、なおかつ色を良くするためには「半煮・半蒸し」という食品研究センターが推奨している方法を用います。で、それをらい砕するのをチョッパーっていう肉挽き機みたいなもので潰していくのですが、潰す機械の馬力を他県産よりも強くして綺麗に濾していかなきゃいけません。そういう違いがありますね。それから次に発酵香が特徴で、酵母は他県とは違って、食品研究センターで供給されております、非常に発酵の香りが良くて、発酵力の強い酵母を使って、十分な発酵をする。そういう所が他県とは違いますね。



小林

ありがとうございます。我々の技術についても触れていただいて、(さらに)実際に活用いただいて、大変食品研究センターとしても青木さんを頼りにしております。大変勉強になりました。青木さん。ありがとうございました。



青木

ありがとうございました。


〔お問い合わせ〕

今回の取材は、新潟県雪国の発酵食文化発信事業の一環で取り組みました。

新潟県農林水産部食品・流通課 025-280-5963

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